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頭蓋仙骨療法(とうがいせんこつりょうほう)

頭蓋仙骨療法とはいったい何なんでしょう?

オステオパシーの中でも代表的なテクニックのひとつでもありますが、

頭蓋仙骨療法単体でも独立した療法として成り立つ施術でもあります。

ではまたかいつまんで、歴史を説明いたします。

 

頭蓋仙骨療法は1899年カークスビルのアメリカ・オステオパシー・スクールの学生であったウィリアム・ガナー・サザーランドにより発表されました。

 

頭蓋(とうがい)は1つの骨ではなく、15種類・23個の骨で構成されています。

それらの骨の合わせ目は縫合と呼ばれ、ジグソーパズルの組み合わせ線のような波形の線(縫合線)で複雑に結合されています。

 

彼は「全ての自然のデザインには目的がある」との強い確信を持っており、側頭骨の鱗状縫合が魚のエラに似ている事に着目し、側頭骨も魚のエラのように動いて呼吸しているのでは?というアイデアから自らの頭を器具で固定したり、さまざまな実験を繰り返しているうちに頭蓋の動きに精通し、そして様々な人々の頭を触診し始め、頭蓋の微小な動きを感じられるようになり、仙骨(おしりの真中の骨)との相互関係を発見しました。

 

そして頭蓋骨が動くのは脳自身が動いているからではないかと推論し、脳が膜組織を動かし、膜組織が骨を動かし、そして脳脊髄液を変動させるとし、脳脊髄液の循環に関わるシステムの事を「第一次呼吸」、肺を使った呼吸システムを「第二次呼吸」としました。

 

この脳脊髄液は神経の新陳代謝やホルモンの運搬、脳や脊髄を保護する役割を果たし、また呼吸や心臓の拍動とは違う自立した一定のリズムを持って流れています。

 

この脳脊髄液による第一次呼吸システムを活発化させるのが頭蓋仙骨療法であり、クレニオは英語で頭蓋骨、セイクラルは仙骨のことを言います。

 

サザーランドの頭蓋オステオパシーは後にジョン・アプレジャーD.O.により複雑な頭蓋オステオパシーを独自の理論・研究により体系化し、10ステップで構成されたテクニックをクレニオセイクラルセラピー(CST)と名づけ、一般にも広く普及させ貢献します。

 

そしてサザーランド晩年の研究は現代にも受け継がれ、ジェームスS.ジェラスD.O.の提唱するバイオダイナミクスアプローチとして今も発展しております。