ポラリティセラピーとは

日本ではあまり耳なじみのない療法ですが、ポラリティセラピーはオーストリア生まれで子供の頃、家族と共にアメリカへ移住したDr.ランドルフ・ストーン(1890-1981)により創始されました。

アメリカで彼の取得した医療資格はオステオパシー医(D.O.)、カイロプラクティック医(D.C.)、ナチュロパシー医:自然療法(N.D.)であり、『何であれ、効果のあるものは良いものだ!』をモットーに生涯に渡って学び続け、後にマッサージや助産婦(助産夫)の資格も取得しております。
また大変な読書家でもあり、長年に渡り神智学協会の図書委員を務めたほどです。

シカゴで開業した彼は1度治った患者が再び舞い戻ってくるのを見て、『どうしたら完全に直せるのか?』と疑問を抱き、世界中のありとあらゆる医療を研究し始めました。

その中でもインドに古くから伝わるアーユルベーダに特に感銘を受け、そのエネルギーの概念が治療のカギを握っていると着目し、『人間の身体は固体ではなく、常に動いているエネルギーパターンが織りなすシステムである』と説き、後にポラリティセラピーの中核として取り入れられます。

ポラリティとは、プラス(陽)とマイナス(陰)の「極性」を意味し、彼は手技により人間の磁場の極性を利用して、身体の2点(プラスとマイナス)を繋ぐことでエネルギーの流れを促す方法を研究しました。

人間の生命体は身体・心・精神の複合体で構成されていると捉え、肉体のみならず感情や思考もエネルギーであり、病気や痛みの原因であるエネルギーの滞りを解消する事で心身全体の治癒が起こると説きました。

治療ではなく治癒(ヒーリング)を目指した点、人間を1つの統合的エネルギーシステムと捉えた点、ヒーリングの中心に精神性をおいた点で従来の医療の考え方と大きく異なっており、現代のホリスティック(全体)医療の先駆けとも言えるでしょう。

彼は1950年代に独自の理論の発表を試みましたが、オステやカイロと同様に当時の医学界においては全く受け入れられませんでした。

しかしその後1960年代ヒッピー・ムーブメントの流れの中で、精神性と健康を目指す人々から圧倒的支持を得て精力的に教育活動を開始する事になります。

『健康とは身体・心・精神が1つの生命体として調和し、魂がそれらを通して自分らしさを表現し、自由と幸福感に満ちている状態である』と定義し、健全な精神・ポジティブな思考パターンが健康の元であるとDr.ストーンは説いています。

彼は単に病気や症状に目を向けるだけではなく、それらを通して気づきを得て、成長・自己実現へと人々の意識を導きたかったのだと思います。


ポラリティ セラピーの特徴

ポラリティ セラピーでは人体の生命エネルギーを3つの方向性で捉え(縦の流れ・横の流れ・螺旋の流れ)、それらのエネルギーの乱れを人体の磁場のポラリティ(極性)を利用し、身体の2点(陽と陰)を繋ぐ事で心身のエネルギーの流れを促していきます。

例えば頭が(+)なら足が(-)、身体の前面が(-)なら後面が(+)、身体の右側が(+)なら左側が(-)という風に捉え、その2点に同時に触れていきます。

またその触れ方にも特徴があり、サットヴァタッチ、ラジャスタッチ、タマスタッチの3つのタッチを基本に、各エレメント(要素)に共鳴するように適宜使い分け手技を施します。

・サットヴァタッチはニュートラル(中核)のエネルギーに同調させるように静かに軽く触れるタッチ
・ラジャスタッチはプラス(陽)のエネルギーに同調させるように刺激的に揺らすタッチ
・タマスタッチはマイナス(陰)のエネルギーに同調させるように瞬間的に深く圧するタッチ

ポラリティ セラピーではアーユルヴェーダの5大元素の理論を基本に取り入れており、森羅万象に存在する全てのものは5つのエレメントで構成され、その5大元素「空」「風」「火」「水」「土」のエネルギーで人体は形作られているというものです。

それぞれのエレメントは身体の各部位、内臓器官、感情、精神状態、感覚、チャクラ、等々と関係性があり、その日のクライアントの各エレメントのバランスの状態に合せ、ボディワークをメインにエキササイズ、食事療法、自己意識を促すカウンセリングを加えた4つの柱により心身の健康をサポートしています。

またポラリティ セラピー的手法に加え、オステオパシーのクラニオセイクラル・テクニックやリフレクソロジーの他にもDr.ストーンの『何であれ、効果のあるものは良いものだ!』の意志を引き継ぎ、カラーヒーリング・クリスタルヒーリング等の様々な療法なども織りまぜながら、エネルギーの自然な流れの回復を促し自然治癒力を高めていきます。